はじめに
この記事では、
・昼まで続く強い倦怠感
・ふらつき
・頭痛や腹痛
・朝起きられない
といった起立性調節障害に見られやすい症状で悩んでいた男の子のケースをご紹介します。
検査で異常が見つからず、薬を続けても改善しにくい場合、身体の緊張や自律神経の働きが大きく関わっていることがあります。
今回の症例では、どのような身体の問題が隠れていたのか、どんな施術が有効だったのかをまとめています。
同じような症状で悩むご家庭の参考になれば幸いです。
主訴・患者データ
患者さん:13歳/男性
主訴:起立性調節障害
→ 昼過ぎまで倦怠感・ふらつき・頭痛・腹痛が続き、学校にほとんど行けない状態
来院までの経緯
13歳でコロナウイルスに感染し、その直後から 胃腸の不調・食欲不振 が続き、体重が3kg減少。
倦怠感や頭痛、腹痛も続き、脳神経外科でMRIを撮影したが異常なし。
その後は睡眠にも問題が現れ、「眠れない・起きられない」状態に。
病院で 起立性調節障害の疑い となり、薬を約1年続けたものの改善が見られず、「別の方法を試したい」というご家族の意向でインターネット検索を通じて来院されました。
検査・初見
●座位の所見
- 左骨盤の硬さあり
- 仙骨部の硬さあり
- 第4胸椎の硬さあり
- 呼吸が浅い
●仰臥位の所見
- 背部の強い緊張
- 後頭部の緊張
- 肋骨の硬さあり
- 横隔膜の硬さあり
●その他
- 神経学的統合不全あり
- 左の呼吸機能に弱さあり
●評価
全体的に緊張が強く、抗重力筋(姿勢を支える筋肉)にも過緊張がみられ、自律神経のバランスが乱れやすい状態でした。
起きられない・倦怠感・頭痛などは、身体の緊張と自律神経の働きの低下が複合的にかかわっていると判断しました。
施術方針とプラン
強い緊張と自律神経の乱れを中心に施術を進めました。
特に以下の3点を重点的に行いました:
- 抗重力筋(首・背中・骨盤まわり)の過緊張の緩和
- 肋骨の硬さの解消 → 呼吸しやすい状態づくり
- 横隔膜の硬さの解消 → 自律神経の安定を促す
身体の負担が少ない方法で、自律神経が「整いやすい状態」をつくることを最優先にしました。
施術内容と経過
●初回
神経学的統合不全の改善
抗重力筋の緊張緩和
横隔膜の調整
回盲弁(お腹の動きに関係)の調整
→ 施術後は身体の動きが軽くなり方針に手応え。
●2回目
倦怠感は残るが「少し起きられた」とのこと
胸郭(肋骨)の可動性にもアプローチ
→ 変化が見られたためこの方針を継続
●3回目
起床後の頭痛・倦怠感はあるがすぐ落ち着き 学校に通えている
神経学的統合不全が「反応なし」に→ アプローチが適切と判断
●4〜5回目
朝の症状がさらに緩和
全体的に安定傾向
●6回目
朝の症状が大きく改善
→ 起きられる日が続き始める
●7回目以降
お腹の調子を崩すことはあるが、学校には毎日通えている
その後も月2回のメンテナンスで良い状態をキープ
まとめ
今回のケースでは、
身体の強い緊張(抗重力筋・肋骨・横隔膜)と、自律神経の乱れが倦怠感・ふらつき・頭痛・腹痛に大きく関わっていました。
ポイントは以下の通りです:
- 骨盤・仙骨・胸椎の硬さ → 自律神経の乱れ
- 背部・後頭部の緊張 → 倦怠感・頭痛に影響
- 肋骨や横隔膜の硬さ → 呼吸が浅く体が回復しにくい
- 神経学的統合不全 → 体のスイッチが入りづらい状態
施術を進めることで、体の緊張がゆるみ、呼吸がしやすくなり、自律神経が整い、「朝起きられない」「学校に行けない」という状態から毎日学校に通える状態へと改善しました。
薬では変化が少ないケースでも、身体の緊張や自律神経の働きを整えることで改善することがあります。
この記事が参考になれば幸いです
この記事を書いた人
嘉村佳紀(かむらよしき)
柔道整復師
横浜市出身
大手整体院グループを経て2023年に三玄堂に入職
丁寧な施術と豊富な知識で患者さんの信頼を得る。得意な症状は自律神経系や頚部疾患
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