【症例記事】1年前から続く息苦しさで来院された51歳男性のケース

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この記事でわかること

この記事では、
・日によって突然起こる息苦しさ
・胸や肋骨まわりの硬さ
・呼吸の浅さや身体の緊張
といった症状でお困りだった患者さんのケースをご紹介します。

 

肺や心臓の検査で異常が見つからない場合でも、身体の硬さや自律神経のバランスが影響しているケースがあります。

 

今回の症例では、どのような検査結果から身体の状態を把握し、どのような施術で改善へ向かったのかをまとめています。同じ悩みをお持ちの方の参考になれば幸いです。

主訴・患者データ

患者さん:51歳/男性/会社員(在宅・デスクワーク)

主訴:息苦しさ

 

その他の状態:

  • 突然息苦しくなるが、一定のパターンはない
  • 逆流性食道炎の既往あり
  • 集中している時は気になりにくい
  • 5年前から耳鳴りあり
  • 抗うつ剤・気管支の薬を服用中
  • 筋トレを定期的に行っている

来院までの経緯

一年前、内科で肺のレントゲンとCT検査を行ったものの、はっきりした異常は見つからず、気管支の軽い炎症と診断され薬を処方。その時期に禁煙も開始されました。

半年前にはお腹の張りが強くなり内視鏡検査を実施し、ポリープを切除。その後も2〜3ヶ月に一度は内科に通院しているものの、息苦しさの改善は見られず、「整体なら身体の使い方や呼吸の問題から改善できるのでは?」と考え、インターネット検索をきっかけに当院へ来院されました。

検査・初見

●坐位での所見

  • 頚部伸展の可動域制限(後頭下筋群の硬さ)

  • 前屈でも可動域がやや制限

  • 胸椎3番・7番に硬さ

  • 骨盤・仙骨に硬さ

●仰臥位での所見

  • 胸部の硬さ

  • 経絡:左大腸経に反応、大腿筋膜張筋弱化

  • 頚部の可動性に硬さと重さ

  • 呼吸検査:肋骨の動きが硬い

●評価

  • 呼吸に重要な 肋骨・横隔膜の動きの制限 を確認

  • 頚部の硬さは「身体の緊張」や「横隔膜の働き」と密接に関係

  • 胸椎3番は肺、胸椎7番は横隔膜と接する肝臓と関連し、呼吸に影響
    → この部位へのアプローチが必要と判断

施術方針とプラン

今回のケースでは、交感神経の過緊張につながる頚部・胸椎まわりの硬さを緩めることを施術の中心としました。

特に以下のポイントに重点を置きました。

  • 頚部・胸椎の可動性改善

  • 肋骨・横隔膜の動きの改善

  • 骨盤・仙骨へのアプローチで副交感神経を促す

  • 大腸経(肺経と対になる経絡)を整えることで、呼吸機能へも働きかける

筋肉だけを緩めるのではなく、「呼吸しやすい身体づくり」と「自律神経のバランス」を整える方針で進めました。

施術内容と経過

●初回

  • 頚部と胸椎への調整

  • 肋骨の可動性を高めるアプローチ

  • 呼吸法のアドバイス

  • 骨盤へのアプローチで副交感神経を促す

  • 大腸経のツボ刺激で大腿筋膜張筋の弱化が改善

施術後は頚部・胸椎ともに可動域が改善。


●2〜3回目

  • 施術後4日間は好調で息苦しさなし

  • その後、少し気になる日が出てくる

  • 上部頚椎に硬さが残る

  • 胸椎の硬さはあるが「遊び」が出始めている

  • 横隔膜に直接的なアプローチを追加


●4回目

  • 過去2週間で症状が出たのは1回のみ

  • 全体的には良好

  • 右肺経のツボの硬さがあり、手のツボから調整

  • 上部・中部頚椎に硬さが残存


●5〜6回目

  • 気になる日はほぼなし

  • 「あるかないか程度」の日が1日ある程度まで改善
    → 間隔を少し空けながら継続


●7回目

  • 日中の息苦しさはなし

  • お腹の張りも消失

  • 胸椎・起立筋群の緊張に対して施術

  • 仙骨へのアプローチで副交感神経をサポート


●8回目

  • 1ヶ月後に来院

  • 少し気になる瞬間はあるが全体的には良好

  • 背中の張りがときどき出るため施術

  • 1ヶ月に1回のメンテナンス施術として継続

以降も月1回ペースで来院し、良い状態をキープできている。

まとめ

今回のケースでは、頚部・胸椎・肋骨・横隔膜の硬さ が呼吸のしづらさに関わっていました。

特に、

  • 胸椎3番(肺と関連)

  • 胸椎7番(横隔膜と接する肝臓まわり)

  • 肋骨の動きの硬さ

  • 頚部の緊張

  • 骨盤・仙骨まわりの自律神経(副交感)との関連


が問題点としてみられました。

施術を重ねながら、

  • 呼吸に関わる部位の可動性改善

  • 自律神経のバランス調整

  • 経絡を通じた肺の働きのサポート

を行うことで、息苦しさは大きく軽減し、「症状がほとんど気にならない日」が続くまで回復しました。

長く続く息苦しさは検査で問題がなくても、身体の使い方や硬さ、自律神経の状態が関係していることがあります。
同じような症状でお困りの方の参考になれば幸いです。

この記事を書いた人

嘉村

嘉村佳紀(かむらよしき)

柔道整復師

横浜市出身

大手整体院グループを経て2023年に三玄堂に入職

丁寧な施術と豊富な知識で患者さんの信頼を得る。得意な症状は自律神経系や頚部疾患

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