【症例記事】気持ち悪さと朝起きられない——小6男子(受験生)のケース

こども

はじめに

この記事では、

  • 吐き気
  • 朝起きられない
  • 頭痛
  • 車酔いの悪化

といった起立性調節障害に関連する症状で悩んでいた小6男子のケースをご紹介します。

 

小児科や心療内科、治療院に通っても改善しにくい場合、「自律神経の乱れ」「体力低下」「神経系の働きの弱さ」などが複合的に影響していることがあります。

 

今回のケースでは、検査でどのような問題が見つかり、どんな施術で改善したのかをまとめています。

 

同じような症状で困っているお子さんの参考になれば幸いです。

主訴・患者データ

患者さん:12歳/男性/小6(受験生)

主訴:吐き気、朝起きられない、頭痛、車酔い

 

その他の状態:

  • 午前中の気持ち悪さが強い
  • 頭痛は「締め付けられる」タイプ
  • サッカーをしているが休みがち
  • 受験のため体調を整えたい

来院までの経緯

半年前に 軽度の起立性調節障害 と診断。

その後、小児科・心療内科・治療院に通院するも、症状が大きく改善せず。

 

午前中の不調が特に強いこと、受験勉強にも影響していることから、「ほかの視点でも見てもらいたい」という思いでインターネット検索を通じて当院へ来院されました。

検査・初見

●坐位での所見

脊柱が左にカーブ気味

頭部前方位

胸椎3番〜6番に硬さ

仙骨の硬さあり

 

●仰臥位での所見

経絡テスト:左腎経に反応 → 大腰筋弱化

お腹の張りなし

スイッチング反応あり(神経系の流れが乱れやすい状態)

神経学的統合不全あり

眼球運動は問題なし

 

●評価

  • サッカーはしているが 小柄・色白・繊細なタイプ
  • 頭がよく、周囲に気を遣う性格→ 常に緊張が強く、自律神経が過敏になりやすい印象

体力の低下、自律神経の働きの弱さ、神経系の反応低下が重なり、「朝起きられない」「吐き気」「頭痛」を引き起こしやすい状態だと判断しました。

 

施術効果が出にくいタイプでもあるため、身体+神経+セルフケア を同時に整えていく必要があるケースです。

施術方針とプラン

  • 腎経は体力と関係が深く、弱さがあったため「体力をつけること」を第一目標に設定
  • 背筋が丸く、体が常に緊張しやすいため姿勢改善も必須
  • 自律神経(とくに交感・副交感の切り替え)を整える
  • 神経学的な不全があるため、施術だけでなくセルフケア指導も必須

 

アプローチは「経絡」+「自律神経」+「神経の流れ」の3本柱で進める方針としました。

施術内容と経過

●初回

神経の流れを整える「スイッチング」調整

仙骨と頚椎の調整

腎経のツボ刺激

→ 施術後に背筋がスッと伸びたため方針の手応えを確認

→ セルフケアを指導

 

●2回目(1週間後)

状態

全体的に調子がよかった

吐き気・頭痛は前より軽い

久しぶりにサッカーをしたが停止時にふらつき

眼球運動の軽度低下

 

施術

目の動きを調整

上部頚椎の強いゆがみを調整(全身緊張に関与)

再度腎経に反応

迷走神経へアプローチし吐き気を軽減

 

●3回目(1週間後)

朝のだるさあり

神経学的統合不全あり → 左側頭骨を調整

胸椎の右方向ねじれも調整

 

●4回目(1週間後)

朝のだるさは改善

200m走に参加

神経学的統合不全あり → 再度左側頭骨の調整

頭痛はあるが頻度が減る

 

●5回目(2週間後)

少し間が空く

頭痛+吐き気が同時に出る

迷走神経・頚椎を調整

腎経反応なし

神経学的不全もなし

 

●6〜7回目(各1週間後)

神経学的統合不全あり

側頭骨に問題はなく「クロール」の方法で対応

頚椎の緊張とゆがみを調整

仙骨を緩める

→ 施術後はかなり楽になり、この方針を継続

 

●8〜9回目

頭痛はなし

ただし「頭の重さ」を訴える

頚椎の施術継続

神経学的統合不全なし → セルフケア継続指導

お腹が少しゆるい

姿勢は改善しているが、丸まりやすい

上部胸椎の硬さあり

 

●10回目(2週間後)

朝の不調がなく学校に行けている

サッカーもできている→ 調子が良いので施術間隔を延ばす

 

●11回目

受験直前で「頭が疲れる」

当初の症状はすべて改善→ 状態は安定しているため今後はメンテナンスへ

 

受験終了後も月1回程度の来院で、疲れによるだるさや姿勢の崩れはあっても 頭痛や吐き気は再発していない 状態を維持。

まとめ

今回のケースでは、体力低下・自律神経の乱れ・神経系の弱さが複合的に絡み合い、「吐き気」「朝起きられない」「頭痛」「車酔い」の原因になっていました。

 

大きなポイントは以下の通りです。

  • 腎経の弱化 → 体力低下・疲れやすさ
  • 頚椎・側頭骨のゆがみ → 頭痛・緊張・気持ち悪さ
  • 神経学的統合不全 → 自律神経の働きが乱れやすい
  • 姿勢の丸まり → 呼吸の浅さ・自律神経の不安定さ

 

施術では、

  • 経絡(腎経)
  • 自律神経
  • 神経の流れ(スイッチング)
  • 姿勢(頚椎・胸椎・仙骨)

を同時に整えることで、学業・サッカーともに支障なく取り組める状態まで回復しました

 

起立性調節障害の症状は薬だけでは改善しにくいことがあり、「体力」「神経」「自律神経」を整えるアプローチが有効なケースが多くあります。

この記事をかいた人

プロフィール

横浜市戸塚区の整体「はりきゅう・整骨院三玄堂」代表

柔道整復師/鍼灸師/あん摩マッサージ指圧師

 

1人でも多くの人が「よくなったらやりたいこと」を実現し、エキサイティングでワクワクする毎日を送れるようになっていただくことを目標にしている。

 

そのため日々の施術にあたる一方で所属団体の講師やセミナー開催を行っている。

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