【症例記事】美味しいものを気にせず食べたい —— 逆流性食道炎で来院された37歳女性のケース

美味しいものが食べたい

はじめに

この記事では

  • 胸焼けや喉のつかえ
  • 胃の違和感
  • 食事への不安や制限

といった逆流性食道炎の症状でお困りだった患者さんの経過をご紹介します。

 

検査では「逆流性食道炎」「食道裂孔ヘルニア」と診断されたものの、薬を飲んでも改善しにくいケースがあります。

 

今回の症例では、身体のどこに問題があったのか、どのような施術が有効だったのか、実際の変化とともにまとめています。

 

「食べることが好きだからこそ、気にせず食事を楽しみたい」という方の参考になれば幸いです。

主訴・患者データ

患者さん:37歳/女性/会社員(デスクワーク)

主訴:胃の違和感・胸焼け・喉の詰まり

 

その他の状態:

  • 食事への不安があり制限している
  • 食べることが好きで、回復して気にせず食べたいという希望
  • 腰痛あり

来院までの経緯

約1年前、胃の不快感と夜間の急な胃痛で病院を受診。

消化器内科および内視鏡クリニックにて

  • ウイルス性胃炎
  • 逆流性食道炎
  • 食道裂孔ヘルニア

と診断されました。

 

処方薬(ドンペリドン)で吐き気が強くなり点滴も経験。

タケキャブへ変更後は吐き気は軽減したものの、胸焼けや胃酸の逆流、喉の詰まりは残存し、その後はラフチジンへ切り替わるも、症状が安定しない状態。

 

改善を求めて鍼治療を3回、さらにカイロプラクティックも受けてみたものの、

「まだ胃の不快感が残る」

「別の視点でも見てもらいたい」

との理由でインターネット検索から当院へ来院されました。

検査・初見

●坐位での所見

  • 頚部前方位
  • 胸椎全体に可動性低下(特に胸椎2番が硬い)
  • 頚椎3番の変異(横隔膜への影響の可能性)
  • 骨盤左後方変位
  • 前屈で腰痛 → 支持テストで改善

 

●仰臥位での所見

  • 横隔膜はそこまで硬くない
  • 呼吸が浅い
  • 胃周囲の硬さは軽度
  • リンパ反射点に反応あり

 

●評価

胃そのものの硬さや横隔膜の問題は大きくないものの、頚部と胸椎の強い硬さ → 自律神経の乱れ → 消化器の働きの低下という流れが疑われる状態。

 

とくに上部頚椎・上部胸椎は逆流性食道炎の症状と関連しやすい部位のため、自律神経調整が必要と判断。

施術方針とプラン

逆流性食道炎の方によく見られる上部頚椎と上部胸椎の硬さ がこのケースでも顕著だったため、以下を中心に施術を行いました。

 

  • 上部頚椎・胸椎の可動性改善
  • 交感神経の過緊張を抑え、副交感神経を働きやすい状態へ
  • 胃や喉のつかえと関連する首の緊張を調整
  • 骨盤・仙骨へのアプローチで自律神経のバランスを整える

全体として、自律神経の乱れと身体の硬さを同時に整えることを狙いました。

施術内容と経過

●初回

胸椎の調整で頭部前方位が改善

頚椎アプローチ後に呼吸が変化

副交感神経の働きを促し、腰痛への対応も込めて骨盤・仙骨を調整
→ 可動性が大きく改善し、継続施術を提案。

 

●2回目

症状:

胸焼け・喉〜前胸部のつまり

胃酸の逆流

食後に症状が出やすい

 

所見:

頚椎2〜4番の硬さ

胸椎2〜4番、7番の硬さ

 

施術:

胸椎2~4番の強い硬さに重点を置き、喉のつまりに関係する頚椎も調整。

 

●3回目

食後のつらさが前回より軽減

頚椎アプローチが効果的だったため継続

胸椎の硬さも改善傾向

 

●4〜5回目

喉のつまり感が残る

頚椎の硬さは軽減しているが症状は残存

呼吸を確認すると肋骨が十分に開かないため施術で改善を図る

 

●6〜7回目

症状:

朝起きたときの喉のつまり・胃の違和感

ただし以前より軽い

食事は気をつけながらもほぼ問題なくできている

 

施術:

胸椎1番の硬さ

上部頚椎の緊張

喉に関連する蝶形骨アプローチを追加

 

●8回目

この1週間は調子がよく、症状がほとんど気にならなかった

ケーキなど脂質が多いものは負担に感じるとの所感
→ 方針は継続

 

●9〜10回目

食後に喉が熱くなることが少しある

ただ以前のようなつらさはなし

食べ過ぎるとお腹が張る

 

●11回目

「何を食べても問題ないが、食べすぎると症状が出る」

食事量を調整しながら様子を見ている

 

●12回目

気にせず食べられるようになった

疲労時に姿勢が悪くなり、胃の違和感が出る傾向
→ 姿勢を基準に施術を実施

頚椎・胸椎の硬さはあるが軽度

仙骨の施術で自律神経を整える

 

仕事の都合で間隔は空きながらも、食事ができるまで回復し、良好な状態を維持できている。

まとめ

今回のケースでは、頚椎〜胸椎の強い硬さ → 自律神経の乱れ → 消化器の働きの低下
という流れが逆流性食道炎の不調に大きく関わっていました。

 

ポイントは以下の通りです。

  • 上部頚椎・胸椎は逆流性食道炎の症状と関連しやすい
  • ここが硬いと、喉のつかえ・胸焼け・逆流感が出やすい
  • 横隔膜や胃そのものの問題より、身体の緊張が主因だった

 

施術では、

  • 頚椎・胸椎の可動性改善
  • 呼吸の改善(肋骨の動き)
  • 副交感神経が働きやすい身体づくり

を積み重ねることで、「気にせず食事ができる状態」まで回復しました。

 

薬や内視鏡治療で改善しきらないケースでは、身体の使い方・姿勢・自律神経 の視点から整えることが効果的なことがあります。

 

この記事が同じようなお悩みを抱えている方の参考になれば幸いです。

この記事を書いた人

嘉村

嘉村佳紀(かむらよしき)

柔道整復師

横浜市出身

大手整体院グループを経て2023年に三玄堂に入職

丁寧な施術と豊富な知識で患者さんの信頼を得る。得意な症状は自律神経系や頚部疾患

はりきゅう・整骨院三玄堂